niconiconnのブログ

気ままなエッセイです

赤い糸

高校生のJ君はその女の子に傘を貸しました。
4月、桜舞い散る雨の午後です。

 

その傘は使い古しの傘で、広がりをまとめるバンドがちぎれていました。

 

しばらくして、傘が返されます。
バンドのかわりに、赤い毛糸でくるりと結ばれていました。
蝶々結びです。

 

彼は恋に落ちました。

 

後々、その女の子に聞くと、
「それ結んだの、お姉ちゃんなんだよね」

 

思い過ごしも……。

 

この恋は、まわりを巻き込みすさまじい展開になることを、
二人も、それを見守る友人達も、まだ知りません。